CRE最前線!

2016/10/14 UP

空き家対策としての有効活用提案

4.当社での空き家対策としてのCRE事例

ここからは当社の事例として、遊休化した不動産から戸建賃貸住宅及び住宅型有料老人ホームへの建替事業への取組みをご紹介します。

(1)戸建賃貸住宅(テラスハウス)

①提案まで

戸建賃貸住宅への建替事業の取組みについては、東京都内に本社を構える機械メーカー(以下、A社)のオーナー様からのご相談を紹介します。

本件は、東京都板橋区内の東武東上線「ときわ台」駅より徒歩約4分、敷地規模約110坪の遊休地に「木造テラスハウス」計画を提案し、本年2月に竣工した案件です。

A社から相談をいただいたきっかけは、オーナー様が祖母から遺贈を受けたことでした。対象地には、戦前に建築され祖母が長年暮らしていた平屋住宅がありましたが、祖母が他界したことで遊休化(空き家)してしまいました。オーナー様は、植木の手入れも含めて年に数回程度は足を運ぶよう管理に努めていましたが、敷地内には草木が生い茂り、周辺住民や町内会からも景観や防災上の観点から一刻も早い取壊しを求められる状況になってしまいました。また、空き家を取り壊して更地化することにより、固定資産税が現在よりも数倍の負担額となってしまうことにも頭を悩ませていました。

対象地は閑静な分譲住宅地内に存しているため、住環境は良好です。周辺では共同住宅等の大型開発物件も見られることから、まとまった画地規模を有する敷地については共同住宅として利用することが妥当と考えられます。しかしながら、約100坪程度の戸建住宅が多く建ち並ぶ周辺の居住環境を考慮すると、ワンルームマンション等の建築は可能であるものの、地域の景観やコミュニティー、地元街並み協議会の賛同は得られないものと考えました。そこで、「周辺住戸と景観を同一に保ち、更には「子育て世代」が入居できる戸建賃貸住宅を建築できないか」というコンセプトのもと検討に入りました。賃貸マーケット、オーナー様の意向、地域の景観や街並み、更には特措法をも勘案し、分譲仕様の賃貸住宅(テラスハウス)を提案することになりました。

Before→After
②提案から建物竣工まで

当社のCRE戦略支援は企業が所有する不動産についての相談が主ですが、本件のような「住宅地の空き家」相談は初めてのケースでした。そこで、総合デベロッパーである当社が過去に手がけた案件の中から「住宅地の空き家」対策として対応できる商品やアイディアの整理を行いました。その中で、当社は昭和30年代から大規模住宅地開発を手掛けていることに着目しました。戸建住宅としてブランド展開している「日土地の家」シリーズで戸建分譲住宅の設計・施工実績があるグループ会社「日土地建設」のノウハウを活用することにしました。そして、「日土地の家」の供給実績の中でも最も評価されている「長期優良住宅」の仕様・設備をベースに企画したテラスハウスの提案に至りました。

本件における計画のプロジェクトマネジメント業務を当社CREコンサルティング部、設計・施工を「日土地建設」が担当しました。

最大の特徴は、「日本住宅性能表示」基準の4項目において最高等級に基づく仕様を標準にしていることです。総戸数は4戸ですが、間取りは各住戸とも駐車場付2LDKです。上下階や隣接住戸間の遮音対策に配慮しているほか、子育て世代が安心して暮らすことができるようにホームセキュリティーを標準装備としています。玄関は各戸別々に設けられており、建物内装や照明も高級感のある分譲仕様を採用している等、ハイスペックな設備の仕様を有するため、戸建住宅の感覚を充分に味わうことができます。また、長期優良住宅と同等性能としたことで、取引銀行とのファイナンスについても、建築費の全額融資を長期30年で調達できました。

賃貸スキームについては、管理会社と一括借上のサブリース契約を締結しました。依頼者であるオーナー様の要望により、空室リスクの負担を軽減することを実現できました。

以上のように、当社グループのノウハウを最大限に発揮することでお客様の相談に対応することができました。

(2)住宅型有料老人ホーム

①提案まで

老人ホームへの建替事業の取組みについては、当社CRE戦略支援先である製造メーカー様(以下、B社)からのご相談を紹介します。

本件は、東京都羽村市内、JR青梅本線「羽村」駅より徒歩圏内、敷地規模約750坪の敷地に「住宅型有料老人ホーム」計画を提案し、来年4月に施設オープンを予定している案件です。

B社とは、東京都千代田区内の自社ビル(遊休化)から高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)への建替事業のプロジェクトマネジメント業務を受注するなど、従来からCRE 戦略支援を行ってきました。当社CREコンサルティング部がプロジェクトマネジメントを推進した建替プロジェクト業務について大変好評をいただいたことが契機となり、B 社が保有するその他の不動産についても有効活用提案の依頼をいただきました。

本件対象地には、昭和61年に建築された木造2階建ての社員寮とアパートがありました。当該既存建物は、築後30年が経過しているため設備の劣化が著しく見られ、自然災害等に対する安全、防災上の観点からも不安事項がありました。そのため、空室率が高い状況となっていました。さらには、対象地が存する地域の行政的条件(建ぺい率:60%、容積率:200%)に対して、既存建物の容積消化率が約55%となっているため、対象地が有する敷地のポテンシャルが発揮されていない状況でもありました。

そこで、対象地沿線には高齢者も多く、高齢者に配慮した諸施設の整備が必要となっていることに着目しました。また、当社は高齢者施設への建替事業の実績もあり、事業ノウハウやスキルを持ち合わせています。

その結果、本件プロジェクトでは「高齢者が使いやすい住まいとは何か」というコンセプトをベースに、郊外の賃貸住宅マーケットが弱含みである現状、敷地規模が大きいことから長期安定的な事業を計画する必要性があること、企業としての地域貢献、社会的責任(CSR)を配慮し、「住宅型有料老人ホーム」を提案することになりました。

Before→After
②提案後

「住宅型有料老人ホーム」とは、食事の提供や生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの入居施設です。入居費用は、入居一時金と月額利用料があり、一般的に月額では家賃・管理運営費・食費・水道光熱費などの雑費等が必要になります。本件では、対象地周辺の木造アパートの賃料水準を参考に1室あたりの月額利用料を査定し、想定賃料収入に基づく事業収支をシミュレーションすることで、運営事業者の誘致を行いました。

また、計画予定建物の容積消化率は約140%となっており、既存建物よりも収益性が大幅に改善された計画となっています。部屋数も約100室設け、デイサービスも併設されています。

計画予定建物の竣工は平成29年2月末を予定しています。現在は建築工事中ですが、無事に竣工を迎えることができるように、日々案件の進捗状況に目を配らせています。

5.まとめ

CRE戦略では、国内外の各種経済情勢、周辺における環境要因、企業の財務内容・立地条件などを総合的に勘案し、不動産個別の課題を解決するとともに、企業経営においても全体最適の観点から、“企業価値”が向上する戦略を検討する必要があります。“日土地のCRE戦略支援”では一時的・一過性の視点にとらわれず、さまざまな事象を検証し、全体最適となり得る施策をお客様と協働し、付加価値を創造してまいります。

(レポート:笠原 創)

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