CRE最前線!

2016/10/14 UP

空き家対策としての有効活用提案

3.空き家の撤去と利活用の促進

空き家対策として考えられるのは、①倒壊寸前になるなど危険なものについては速やかに撤去すること、②現状利用できるものについては利活用を促すことが考えられます。昨年には、これらの対策を後押しするように、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、社会問題にまで発展している空き家への課題解決に向けた一歩を踏み出しています。

①空家等対策の推進に関する特別措置法の制定

従前より、空き家等の管理に関する条例の制定・施行は自治体で行われていましたが、条例施行が全国的に進捗していることを受け、平成27年5月「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、特措法)」が全面施行されました。

特措法では、

  • A. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • B. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • C.適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  • D.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

になっているものを「特定空家」とし、市町村が立入調査の権限を持ち、指導、勧告、命令、代執行の措置を行えるものとしました。また、市町村が「空家等対策計画」を定めることができるとされ、対象地域については、空き家の実態調査や撤去、利活用に関して国の財政援助が受けられることになりました(表2参照)。直近では、平成28年3月に本法律に基づき、東京都葛飾区にて老朽化し倒壊の恐れのある空き家を行政代執行で取り壊す作業が行われました。

表2:空き家対策条例における主な自治体の権限範囲

このように、特定空家の所有者は、自己所有物件が特定空家にならないように維持管理を行う、賃貸化する等の物件の活用化を行う、維持管理コストと将来的な税負担を考慮して売却活動を行う等の行動を起こすものと考えられます。既に、ハウスメーカーや不動産業者が空き家の管理や流動化を請け負うサービスを相次いで開始しており、効果が徐々に表れています。

また、空き家の撤去をより促進するためには、撤去費を補助することでも大きな効果が生まれます。シンプルな政策であるため、撤去費補助の制度がある自治体も多く見られます。ほかにも、ファミリー向け住宅に建て替える場合に限り撤去費を補助するケースや、土地建物を自治体に寄付することで空き家の撤去を推進する自治体も見られるなど、各自治体によって特徴があります。

②税制改正

空き家の流動化を妨げている要因として、固定資産税における住宅用地の特例があることを前述しました。

平成27年度:税制改正(国土交通省)では、「空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外する」と記載されています。つまり、適正な管理がされていない空き家の所有者に対しては、固定資産税・都市計画税の減額措置が適用されなくなりました。これは、所有者からの自発的な空き家の除却や適正な管理を促進することを目的としています。

また、平成28年度:税制改正(財務省)では、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が新しく創設されています。

これまで空き家の譲渡の際の譲渡所得には、空き家を理由とした特別控除はありませんでした。しかし、平成28 年4月1日から平成31 年12月31日までの間に行われる一定の要件を満たした空き家の譲渡には、譲渡益から3,000万円を控除することができる制度が導入されました(図6参照)。

図6:制度のイメージ

この特別控除が適用される主な要件は下記のとおりです。

平成28年:税制改正(財務省) 「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の概要(抜粋)
  • 相続した家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたものであること(旧耐震基準の家屋であること)。
  • 相続した家屋は区分所有建築物でないこと(マンションなどは対象外)。
  • 相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であること。
  • 譲渡額が1億円を超えないこと。
  • 相続時から譲渡までの間に、事業・貸付・居住の用に供されていないこと(譲渡までずっと空き家状態であること)。

③現状利用できるものについては利活用を促す

利活用の促進については、「空き家バンク」を設けている自治体が多く見られます。「空き家バンク」とは、地方自治体が主役となって空き家情報を収集し、移住希望者等に対して情報発信を行い需給マッチングさせる仕組みです。特に、人口減少で悩む地方の自治体を中心に、早くから取組みがスタートされてきました。

しかしながら、「空き家バンク」の開設以来、累計成約件数が10件未満の自治体が約半数あるなど、あまり機能していないのが現状です。

「空き家バンク」を機能させるためには、まずは登録物件を十分に確保する必要があります。また、所有者による自発的な登録を待つだけでなく、不動産業者や地域のNPO法人などと連携して、物件情報の収集を積極的に行うことです。空き家バンクについての問い合わせがあった場合は、物件案内はもちろんのこと、生活面や仕事面など様々な相談にも対応する等の細かい配慮が必要になります。

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