CRE最前線!

2016/10/14 UP

空き家対策としての有効活用提案

2.空き家増加の背景

①人口減少

戦後の住宅不足、その後の高度成長期の人口増加に対応するため、日本では持ち家制度が奨励されました。住宅金融公庫が低利融資を行い、住宅ローン減税の仕組みも設けられ、新築住宅が大量に供給されるようになりました。住宅を短期間(25年~30年)で買い換えていくことにより、使い捨て型の構造になったといえます。さらに1990年代以降は、景気対策の色彩も強くなり、次々と新築住宅が供給されました。その範囲は市街地外延部にまで拡大され、立地条件が良くない地域にも及びました。

一方で、現在の日本は人口減少局面に入っています(図3参照)。平成26年10月1日現在で約1億2,700万人と、4年連続で減少しており、平成67年には1億人を下回る将来予測も発表されています。特に、地方では若い世代が進学や就職等により都会へ進出することにより、住宅の引き継ぎ手がいなくなり、放置される住宅が増加することとなりました。

図3:日本の人口推移と将来予測

②家族形態の変化による世帯数の減少

家族形態の変化も空き家を増加させている要因です。1つに、高齢者世帯の核家族化が挙げられます。世帯主が60歳以上の世帯に注目すると、「単独世帯」及び「夫婦のみ」世帯が急増しています(図4参照)。平成12年では、「単独世帯」及び「夫婦のみ」の世帯の割合は約58%でしたが、平成27年では約61%に、平成47年には約66%にまで上昇する予測となっています。また、「家計調査報告」(平成24年:総務省)によると、60歳以上の世帯の持ち家率は約91%と非常に高くなっています。さらに、厚生労働省「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(平成22年)によると、60歳以上で「一戸建て・持ち家」に住む人は78.4%と「集合住宅・分譲」の8.0%を大きく上回っています。

図4 世帯主60歳以上の世帯の家族類型別世帯数の推移と将来予測

これらのデータから、高齢者の多くは一戸建てに住んでいることが分かると同時に、将来的には更なる空き家の増加が懸念されます。夫婦で居住していた高齢者も、施設入居や死別により1人暮らしとなり、1人暮らしの高齢者が亡くなれば、それまで居住していた自宅は無人となり、空き家化する可能性が高まるからです。

また、単身者世帯が急激に伸びていることも空き家を増加させている要因に挙げられます。平成22年の国勢調査では、総世帯数約5,184万世帯のうち単身者世帯の数は1,678万世帯となっています(図5参照)。単身者世帯の割合が、昭和55年では約19.8%でしたが、平成22年では約32.4%にまで達しています。単身者世帯が増加しているということは、それに応じて単身者向けに対する住宅ニーズも高まっていることが言えます。近年では、ワンルームマンションをはじめ、シェアハウスの台頭など単身者を取り巻く住環境も大きく変化しています。今までの住宅ストックが必ずしも現代のライフスタイルに適合するわけではなく、自分たちのスタイルに合った新たな住宅の形を求めるようになっています。

図5 世帯数及び単身者世帯の推移と将来予測

高齢者世帯の核家族化及びライフスタイルの多様化が進展することで、両親の死亡時における相続や、高齢者施設への入居等によって空き家になっても、子供は家を引き継がなくなりました。

③固定資産税との関係

土地や建物の所有者には、固定資産税が毎年課税されます。空き家が建築されている土地も当然に課税対象となります。一方で、土地の上に、空き家といえども一般住宅が建築されていることにより、固定資産税における「住宅用地の課税標準の特例」が適用されます。その土地は住宅用地(人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地)とみなされ、課税標準額(固定資産税額を計算するための基準となる土地の価格)が6分の1となる減額措置が受けられます(表1参照)。そのため、空き家を取り壊して更地化すると、特例が受けられず、かえって課税標準額が大きく跳ね上がり(最大約6倍)、所有者への負担が大きくなってしまいます。したがって、空き家を取り壊さず、そのまま放置している所有者も多く見受けられるのです。

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