CRE最前線!

2015/04/15 UP

CRE事例紹介

3. 提案の背景

上述した背景を基に提案内容を検討しました。

川島株式会社様が保有していたビルは1972年築で、いわゆる旧耐震基準に基づいた建物でした。東日本大震災以降、テナントの考え方に変化があり、旧耐震建物を避ける傾向が高まりました。そこで、川島株式会社様が保有していたビルも小伝馬町駅至近にありながら、テナントが退去し、全室が空室となったため、建替えを選択することとしました。この選択をする大きな要因となったのが、保有ビルが特定緊急輸送道路沿道の建築物であったということです。特定緊急輸送道路沿道の建築物については、東京都が耐震診断及び建替えに対して、補助金を出し、積極的な建物の耐震化を推し進めていました。このことも、建替えに向けて大きく舵をきるきっかけとなりました。

建替えをするにあたり、考えなければならなかったのは、どういった用途の建物を建築するかでした。

日本橋小伝馬町は交通利便性が良く、東京駅へのアクセスも優れていることから今まではオフィスとして利用されてきました。しかし、近年のオフィスは1フロア当たりの面積が広く、まとまった一団の土地が必要となりますが、古くからの繊維問屋や金物問屋も多く連なっている地域であるため、一団の土地の形成が難しくなっています。またオフィスとして建て替えるとしても、周辺にはオフィスビルが多く、競合物件との差別化が難しく、運用資産としては安定性に欠けるものと思われました。さらに周辺オフィスビルは古い旧耐震の建物が散見されるようになっています。そのため、空室率が高く、賃貸オフィスの賃料相場は大きく下落しているなど、従来のオフィス利用とは異なった環境となりつつありました。次に近年、職住接近に対する需要が高く、周辺において住宅が増加しているため、スーパーマーケット等の生活利便施設も増加しており住宅地としての利用も考えられました。しかし住宅の場合、視認性に対する影響が弱く、幹線道路沿いとそうでない地域とで賃料単価や分譲単価に大きな変化はありません。更に駅距離の優位性もホテルやオフィスと比較すると劣後することから、立地の特性を最も享受できる利用を検討しました。

4. 提案内容

そこで、現在の日本橋小伝馬町の周辺環境は、オフィスや住宅などの用途より、ホテルとしての利用が最も適しているのではないかとの仮説を立てました。その上で今後の政府における観光に対する取組み、東京都における宿泊者数の推移やホテル営業数及び客室数の推移等を検討するなどの分析、各ホテル運営事業者へのヒアリング等によりホテルとしての実現性、採算性、将来可能性を検証し、川島株式会社様との打ち合わせやホテル運営事業者との打ち合わせを重ねていきました。その際に、2020年に東京オリンピック開催が決定し、今後のホテル利用が増加する要因が増えたことで、ショールームと小売部を併設したホテル建替えに向けて動き出しました。

当事業のキャッシュフローおよび事業計画を分析し、ホテル運営事業者より受け取る一時金、将来収受する賃料収入及び本業による収益計画等の全体キャッシュフローの最適化を目指しました。本件をきっかけに、ホテル運営事業者から壁紙の受注を受けるなど、本業へのシナジー効果も生まれています。結果として、川島株式会社様、ホテル運営事業者にとってwin-winの関係を築くことができました。

なお、建築費の高騰については、上昇局面の早期に建築費をコミットすることを助言できたため、川島株式会社様が大きな影響を受けることはありませんでした。

5. まとめ

CRE戦略では、国内外の各種経済情勢、周辺における環境要因、企業の財務内容・立地条件などを総合的に勘案し、不動産個別の課題を解決するとともに、企業経営においても全体最適の観点から、“企業価値”が向上する戦略を検討する必要があります。“日土地のCRE戦略支援”では一時的・一過性の視点にとらわれず、さまざまな事象を検証し、全体最適となり得る施策をお客様と協働し、付加価値を創造してまいります。

( レポート:不動産鑑定士 吉岡 宣行)

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