CRE最前線!

2011/2/15 UP

2.経営環境の変化とCRE戦略の再構築

CRE戦略の再構築

文責:(株)税研情報センター

セミナーの最後は日本土地建物 上席コンサルタント・不動産鑑定士である石川聡による「経営環境の変化とCRE戦略の再構築」についての講演となった。石川はまず、あらためてCRE戦略とはなにかについて解説。「CRE戦略は単なる不動産の処分や有効活用にとどまるものではなく、経営戦略的視点に立った不動産の再構築を意味しており、企業価値向上の観点から不動産の効率性を最大限向上させること」であり、「資産としてB/Sに影響があるのみならず、ファシリティコストの面ではP/Lにも影響のある重要な戦略」であるとしている。

不動産の効率性を高めるためには、現在、自社にどの程度の不動産があり、誰が何のためにどのように使用しているか、今後何のために使われるべきかを検討する必要があり、そのためにも不動産に関する情報の収集・管理をしっかり行う必要がある。

CREに対する企業の意識

前述のように、CRE戦略を遊休不動産の処分や活用といった程度にとどめてしまう企業は少なくない。しかし、企業にとって不動産は、ヒト・モノ・カネ・情報に続く第5の経営資源と認識されている。実際、企業のB/Sの簿価ベースにおいて、不動産は全体の約36%を占めていることからもその重要性は理解できるだろう。つまり、企業はCREを適切にコントロールする必要があり、そのオペレーションは常に経営戦略との整合性を考慮して行われなければならないわけだ。

一方、企業側の不動産管理に対する意識はどうだろうか。CRE戦略という言葉が周知されるに伴い、資本金1億円以上の大企業を中心に、不動産の集中管理を行う部署の設置や不動産情報管理の一元化の必要性の認識は広がりつつあるようだ(図1)。

<図1 不動産管理に関する意識>
不動産管理に関する意識

今後、さらに不動産自体及び関連する情報について、管理体制の整備を進めることで、適切なCRE戦略の実現を図るべきだろう。

3.CREを巡る会計制度の動向

2005年4月1日以後開始事業年度から強制適用が始まった減損会計。その導入以後、CREを巡る会計制度の変更が続いている。近年の国際財務報告基準(IFRS)を巡る動きも、その流れに拍車をかけている(図2)。

<図2 CREが関連する主な会計制度の動向(IFRS)>
CREが関連する主な会計制度の動向(IFRS)

そのような状況下、2010年3月期決算から適用が開始された賃貸等不動産の時価開示の動向を見ると、開示について十分とは言えない状況となっている。物件を区分せずに主な算定方法のみを記載する例が全体の60%程度という試算もあり、来年度以降のIR対策が重要となる企業も少なくないようだ。

石川は「賃貸等不動産の時価開示については各企業様で関心が高いようで、私自身の仕事の1/3程度を占めています」と語るほど需要は多いようだが、適用初年度においては開示に積極的とは言いにくいようだ。「開示のためのデータ収集にとどまることなく、せっかく集めた重要な内部データを収益性改善や資金調達余力の状況など、自社にとって重要なデータとして活用することを考えるべき」と指摘、会計制度の変更をCREそのものを再認識する契機とすべきだろう。

4.事業再編とCRE戦略

企業の合併や買収、海外進出など従来の経営から大きく方針転換するケースが頻発している。国内企業が海外に進出するに伴い、国内の工場を閉鎖または縮小する場合などでは、国内の工場用地を今後、どのように活用・処分するのかについて検討が必要となってくる。

石川は講演の中で出光興産と住生活グループの例をあげている。たとえば、出光興産の場合では海外への工場移転に伴い、利用度・利益率ともに低い国内工場をクリーン・エネルギー施設のような高機能材事業に転換するなどして、CREを効率よく活用している。住生活グループにおいても、グループ企業の再編に伴い、本社機能を集約したり、余剰となった遊休地を活用した太陽光発電施設を設置するなどのCRE戦略を実施している。

「つまり、事業再編には組織や人事の再編のみならず、CREの再編も含むことを理解すべき」と石川は言う。多くの場合で、事業自体の再編に注力するあまり、CRE戦略については後回しになる傾向があるようだ。「事業の再編や企業統合にあたっては、CREに聖域をつくらず、事業再編の目的は何だったのか、新たな事業グループにおける基盤事業は何であるのかについて確認しながら作業を進める必要があります。CREの統合には想像以上に時間もかかりますので、データの収集などの事前の準備と現状の理解と解決策の用意が必要」となるようだ。

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