CRE最前線!

2010/12/8 UP

1.国内初のキャップ&トレード制度

地球温暖化(気候変動)防止に向けて、東京都は従来からCO2排出量の削減には積極的に取り組んできました。2002年には「地球温暖化対策計画書制度」を導入し、大規模事業所に対してCO2排出量の報告と自主的な削減目標の設定を求めてきました。2006年には都のあるべき姿を示した「10年後の東京」において、「温室効果ガスを2020年までに2000年比25%削減」という高い目標を掲げました。

しかし、実際には多くの企業は基本的な省エネ対策を行うにとどまり、削減効果は期待したほどには出ませんでした。2008年度の実績排出量は2000年度比で6.8%減少に過ぎず、一部には取組の優れた事業所もありますが、全体の約8割は標準的なレベルの取組となっていました。これは、大幅な削減目標を達成するには、企業の自主的な取組だけでは限界があり、制度強化(取組から結果へ、そして要請から義務へ)が必要であることを意味します。

そこで、都は2008年に環境確保条例(2000年公布)を大幅に改正し、CO2排出総量の削減義務と排出量取引制度を導入しました。これはキャップ&トレード制度と呼ばれ、国内では最初の導入です(世界では3番目)。条例では「キャップ(排出枠)」という表現は使われていませんが、後述するように基準排出量から削減義務量を差し引いた数値が実質的にキャップとなります。また、今回の改正では産業部門だけでなく業務部門も削減義務の対象とされたことが大きな特徴ですが、オフィスビルや商業施設なども対象とする世界初の都市型の制度と言えます。因みに、東京都のCO2排出量のほぼ半分を産業部門と業務部門が占めています(それぞれ約1割、約4割)。

削減すべき温室効果ガスはエネルギー使用に伴い排出されるCO2だけですが、対象外のメタンなども排出していれば報告する必要があります。削減義務の対象となる事業所は、2006~2008年度の3年間のエネルギー使用量(燃料・熱・電気)が連続して原油換算で年間1,500klの大規模事業所です。この年間1,500klというのは電力なら600万kwhに相当し、電気代は概ね9,000万円になりますが、CO2排出量としては年間約3,000トンに相当します。

削減義務は基本的に建物や施設の単位ですが、地域冷暖房などの場合には、複数の建物などをまとめて一事業所とします。対象となる大規模事業所は約1,300ヵ所(産業部門で約300、業務部門で約1,000)と、約70万ある都内事業所の1%にも満たないのですが、CO2排出量では産業・業務部門の約4割を占めており、その大きさがわかります。

それでは誰が削減義務を負うのかというと、原則として対象事業所の所有者(ビル・オーナー)です。しかし、東京には賃貸型のテナントビルも多く、削減の実効性を高めるためには入居するテナント事業者の協力が不可欠です。そこで、すべてのテナント事業者に対してオーナーへの協力義務を規定したうえで、一定規模以上(延床面積5,000m2以上か電力使用量600万kwh以上)のテナントには独自の削減計画をオーナーに提出し、対策の実行を義務付けました。証券化物件については、信託を利用している場合は信託会社が、信託を利用していない場合はSPC(特定目的会社)が、所有者として削減義務者とされています。

<図表1 東京都の「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」の要点>
東京都の「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」の要点
<図表2 東京都のC02排出量の部門別推移>
東京都のC02排出量の部門別推移
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