CRE最前線!

2010/3/1 UP

第3回講座 土壌汚染対策の低コスト化と資産除去債務(環境債務)

Question

土壌汚染対策の取り組みは、どのような傾向にあるのでしょうか。

Answer

土壌汚染対策法は、改正前の現行法でも、実は「汚染土壌の完全浄化」を要求してはいません。求められる対策は、人が有害物質を摂取する経路を遮断できればよいというもので、有害物質の含有量が基準超過していた場合は、覆土や舗装することでも良いということです。しかしながら実際の土地取引においては、汚染を残置(封じ込め)することが許容される例は極めて少ないのが現状です。完全浄化でないと、いわゆる「指定区域」が解除されないこと、資産価値へのマイナス影響が懸念されるためです。

土地の用途が住宅系の場合、購入者が一般市民であるため、極力、将来問題化する可能性のあることは避ける必要があります。土壌汚染の問題は、重要事項説明書で説明する際にマイナス面として指摘されるケースがあります。地中に汚染が残っていて、本当に健康リスクはないのか、将来、売却する際に大幅に価値が低下しないかといった懸念もあります。この問題は、土地が私有財産であり、大気や水などの様に、国がその安全基準を示せば基本的に受け入れられる公共財と本質的に異なる要素があることに起因していると思います。 とは言え、マクロ的には今後、汚染を封じ込めた土地活用は確実に増えると予測され、CRE戦略における汚染地の出口メニューは、これまで以上に多様化すると考えられます。

CREとしては、不動産の活用法に応じて土壌汚染対策の手法が選択できることが重要と考えます。場合によっては掘削除去、またあるケースでは、コストの低い他の手法を選んで対策を講じることができれば、不動産の活用法が広がるのです。

汚染された土壌を浄化する手法の主流は、汚染土壌をほぼ完全に除去する掘削除去、つまり土壌の入れ替えですが、これは高コストです。2010年4月の土壌汚染対策法が一部改正される背景の1つに、この「掘削除去(土壌入れ替え)等の高コスト対策手法の偏重」があげられています。土地の活用方針によっては、掘削除去に変わる様々な土壌汚染対策手法も実施しています。

土地の土壌汚染対策は、ステークホルダーとの良好な関係維持が極めて重要です。周辺住民や監督行政とのリスクコミュ二ケーションにおいても、弊社は高い評価を受けていると自負しています。

Question

高コストの掘削除去法に代わる土壌汚染対策の具体例をご紹介ください。

Answer

製造工場の敷地において、敷地のほぼ全域で有害物質が基準値を超過し、地下水においても基準値を超過したケースで、掘削除去で完全浄化した場合のコストは100億円以上と試算されました。土地は売却された後、物流基地として利用される予定があり、完全浄化でなくても土地売買は可能と判断し、完全浄化のコストと比較して約10分の1に圧縮した、封じ込めによる手法で対策を講じました。

<図5:開発支援事例>
図5:開発支援事例
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Question

資産除去債務(環境債務)がCREに及ぼす影響についてお聞かせください。

Answer

土壌汚染に関しては、資産除去債務導入となっても、当面は法律で義務が生ずる調査費用の計上にとどまる可能性が高いと予測されます。土壌対策費用については、調査結果がないと精度のある算出は不可能であることから、特異なケースを除いては計上されないのではないかと考えています。環境債務となる土壌対策費用は、CREに与える影響が大きいものです。まずは土壌汚染リスク把握のために、保有不動産を採用可能なレベルで調査されることをお勧めします。

これからは不動産における土壌汚染リスク対応は常識になっていくと考えます。一部の大手ディベロッパー様が保有する不動産資産は、そうしたリスクに敏感で、既に対策をとっておられます。エンドユーザーさんは、リスクに対して先手で対応されることへの価値意識が高く、その信頼に対する責任と言えるでしょう。メーカーさんにおいても、保有不動産の土壌汚染対策をとられ、資産除去債務に組み込むケースが見られます。会計制度を注視しながら、保有不動産の土壌汚染対策をぜひ講じていただきたいと考えます。

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