CRE最前線!

2009/11/1 UP

第2回講座 環境対応と建築コスト

Question

発注者側から設計依頼をするときは、建築コストや環境基準によって多種多様なプランがあるということでしょうか?

Answer

はい、その通りです。今までは、運用中の建物のCO2排出量の公開がなされることはありませんでしたが、今では、都内の各ビルのCO2排出量データが東京都のホームページで公開されるようになりました。日建設計が係わったビルについては、竣工後も詳細なフォローアップもさせていただいています。私自身についていえば、これまで係わってきたビルの竣工以来のエネルギー消費量やCO2排出量などの詳細を稼働率などの運用実態とともに詳細を実績値として把握しています。シミュレーションだけでもエネルギー消費量やCO2排出量は算出できるのですが、建物の運用状態は変数が多く、なかなかシミュレーション通りの数字にはなりません。実際に体感としてその実績値を知ることは、どの部分を頑張れば大きくエネルギーを減らすことができるか、より効果的な手法はどのようなものかなど、省エネ設計の勘所としてとても重要な体験となっています。これまでに数多くの省エネビルを手掛けていることが、日建設計の強みですね。

Question

実際建物ができて、テナントが入られてどのように使われるか、営業時間や休日の使用状況、電気量や給排水の使用頻度など、把握しにくい部分もありますが、日建設計では実際のシミュレーションに反映可能な、数値データなどをお持ちになっているということですね?

Answer

そうです。お客様とご相談し、集中実測や1年目検査、2年目検査、省エネ診断といったタイミングでエネルギー消費量やCO2排出量の把握を行っています。設備の運転時間が長ければ、当然CO2排出量は増えます。また、用途別によっても変わってきます。例えば、IT関連だとPCの使用率が高いので、CO2排出量が増える傾向にあり、また金融機関によっては、一人が6、7台のPCモニタを使い電源も切らない部署もあるというような業務上の特性によって変動します。

特に、商業施設の場合は空室率や稼働率、テナントのお店が流行るかどうかなど予測できない状況が多く、具体的なCO2排出量が予測しづらいですが、弊社では蓄積データからその振れ幅についても把握しています

Question

環境対応ビルのイニシャルコストについてお聞かせください。

Answer

まずは、省エネ対応を施さない場合の建築コストをご説明しています。それから、ケーススタディをもとに省エネ対応をした場合の建築コストをご説明します。

オフィスビルの基準ですとPAL300という規制数値がありますが、都内の新築ビルの計画では、先ほどご紹介したようにこれを更に25~35%改善、つまりPAL255~225以下にしなくてはなりません。PAL改善のために、総ガラス貼りのビルの場合としてシングルガラスをLow-Eペアガラスの窓とするだけで建築コストが坪単価にして約3万円の差が生じます。腰窓をつけるというやり方を採用すれば、ガラス面積が減りコスト軽減に繋がる場合もあります。

このように、環境配慮といってもやり方次第でコストは変わるので、環境対応ビルとしてコストアップを一般論で語るのは容易ではありません。目安としては、先に述べたようにCO2削減率30%程度の環境配慮ビルについて、概ね5~10%のコストアップが不可避であると考えています。

Question

建築コスト5%の幅(前記)は、PALやCASBEEなどのランクによっても違いがあるのでしょうか?

Answer

もちろんそうです。例えば、CASBEEの場合、Sランクの中でもずば抜けたSランクがあります。超省エネや周辺の生態環境への配慮が超一級の計画をスーパーSランクなどと勝手に呼んだりしていますが、その場合は10%以上のコストアップとなります。

ERRの数値も徹底して追及し始めると、外気冷房のための機械室スペースが必要となったり、熱源機械室を必要とするセントラル空調方式が有利となるなど、建築スペースにも影響が大きくなってきます。つまり、省エネ機器のコスト増だけでなく、レンタブル比が落ちるなど事業計画への影響も大きくなってきます。今後、さらにERRの目標値が厳しくなると、その影響は無視できないものになりそうです。

Question

コスト削減方法として、どのようにお考えでしょうか?

Answer

補助金の活用についても、ビルオーナーに提案を進めています。トップランナー型の大型補助金の対象となる目標値はCO2排出量30%以上の削減となっています。最新の傾向では、削減目標値がどんどんと高くなってきており、今後は40%~50%削減の場合が多くなるものと予想しています。もちろん、普及促進のためのボトムアップ型の補助金や、改修工事に特化した補助金などもあり、計画に応じて活用する補助金の種類を変えて提案しています。

今後ますます厳しくなるであろう環境規制を考慮すると、後々の追加投資が必要になると思われます。高度な事業判断になるとは思いますが、米国のオバマ大統領のグリーン・ニューディール施策に代表されるように、日本でも環境配慮に対する補助金が充実する現在、これらを活用して先行メリットを享受していただきたいと考えています。

<建築物の環境負荷低減技術の一例>
建築物の環境負荷低減技術の一例
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