CRE最前線!

2009/10/1 UP

第1回講座 改正省エネ法と東京都環境確保条例への対応

Question

条例の改正を受けまして、建設業界の動きにどのような変化が生じましたか?

Answer

最近、法規関連の動きがとても激しく、省エネ法改正や東京都環境確保条例改正について、いろいろなデベロッパーさんと共に今後の環境設計はどう変わっていくのか、どれくらい建設費が上がるのか、などいうことを日々研究している状況です。建設業界の一大関心事であり、特にビルオーナーにとっては事業計画への影響も大きいため、各社で開催される勉強会などで、お話をさせていただいております。ごく最近では、東京都が2010年4月から施行するCO2排出量の総量削減義務と排出量取引制度について、皆さんの関心が高まっているところです。

全国的な動きでは、各自治体それぞれで条例が施行され、自治体同士の競争が激しくなっている動きを感じます。東京都内では千代田区が最初に千代田区地球温暖化対策条例を制定しました。2008年1月施行の条例では、2020年までにCO2排出量を1990年比で25%削減といった目標値が定められています。最近では、都市計画法に基づく地域計画において、建築物の高さや色彩の制限、緑化率とともに、全国で初めてCO2削減数値を街づくりの計画に盛り込むなど低炭素型都市づくりを推進しています。千代田区は2009年1月に国から「環境モデル都市」に選定されており、2050年までに温室効果ガスの50%削減を掲げ、さらに高い目標達成のための諸施策を打ち出しています。

一方、大阪や名古屋では、まだ厳しい規制が始まっていないので、地域によってその対応には温度差があるのが実情です。しかし、今後は東京のような動きが活発化するのではないでしょうか。

<環境関連法改正の概要>
環境関連法改正の概要
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<増加する地球温暖化防止条例など自治体取組>
増加する地球温暖化防止条例など自治体取組

Question

 現在、環境に配慮した建築に取り組むということで、既存建築物における問題点にはどのようなものがあるでしょうか?

Answer

東京都では、大規模開発など、都市づくりにおけるカーボンマイナスと緑化の増進を図ることによって環境都市づくりへの取組みを促進するため、「都市開発諸制度活用方針」が改定され、今年の2月から本格的に施行されています。1万平方メートル以上の新築建築物の場合には、省エネ法で定められた基準であるPAL(※1)やERR(※2)などの数値を、国の基準に比べて25%~35%以上の削減を求める誘導基準が定められています。このような都市計画段階におけるカーボンマイナスの協議が始まっていますが、建築主の自主的な取り組みに委ねられているところも多いルールであるため、実際にはまだ手探りの状況です。

一方で既存の建物に関しては、環境確保条例の改正により大規模事業所対象の5年計画(2010~2014 年度)で平均8%のCO2削減が求められています。このような状況で、既存ビルに関しては、費用対効果の面からどのビルに省エネ改修を行うか、どの程度の改修費用を投入するか、また改修によっていかにビルを長持ちさせるかあるいは建て替えかの判断が求められています。その判断基準として、CASBEE(※3)による評価やエネルギー消費量などの指針が存在し、これらを駆使して改修計画時の適切な環境配慮項目を探っているところです。

設計者としてまだ勉強不足であると自覚しているところは、ファイナンスの視点です。不動産の価値評価や資金調達、事業計画全般を習熟していなければ、どのように資金を調達して、また事業としてどのような建物を造るのかが明確になりません。設計事務所の立場からも、環境不動産の価値や投資効果の説明責任が重要なテーマであると考えています。

  1. ※1:PAL:Pelmeter Anual Load(年間熱負荷係数)の略。
    建物の外壁、窓などからの熱損失の防止性能に関する基準値。建物用途別に省エネ法に定められている。
  2. ※2:ERR:Energy Reduction Rateの略、設備システムにおけるエネルギー消費の低減率。
    省エネ法に示されたCEC(Coefficient of Energy Consumotion:空調、換気、照明、給湯、エレベーター消費係数)を統合化した指数。
  3. ※3:CASBEE :Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiency(建築物総合環境性能評価システム)の略。建築物を環境性能で評価し格付けする手法。

Question

東京都の改正省エネ法、温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度の導入など、これから規制が始まりますが、日建設計としての設計方針をお聞かせください。

Answer

私たちに型どおりの設計というものはありません。第一は、お客様のニーズに合わせるという方針です。その一方で、条例やルールを守るという視点やさらに建築主として意欲的な目標を掲げ、これをクリアするといった様々なケーススタディを行います。

ひとつの試算例として、省エネ率30%以上を目標に掲げた場合、約6%の初期コストアップという代表事例があります。標準ビルの省エネ仕様をどのレベルに設定するかによって検討結果が変わってくる部分もありますが、省エネ率30%までは、建築コストは約1割アップ程度と考えています。省エネ手法の費用対効果を勘案した設計において、一般的には設備系の省エネ手法から採用したほうが、費用対効果が高いと提案させていただいています。

具体的には、省エネ手法の中でも費用対効果の高い高効率照明器具や空調の効率化から検討を着手し、だんだんと窓を開けて自然換気を取り入れることや庇をつけて日射遮蔽を行うなどの建築的な省エネ手法へと進めていきます。

ところが、最近では30%省エネどころか、40~50%省エネ、もしくはそれ以上の省エネ目標を設定するケースも出てきました。費用対効果の高い手法だけでは、このような高い省エネ率は達成できません。削減効果が1%以下で費用対効果も悪いような手法を数多く取り入れることで大幅な削減が達成できます。削減目標や事業計画はどのビルも一律ではありませんので、あくまでもお客様の希望に沿った設計内容とすることを心掛けています。

最先端の研究として、略称でZEB(ゼブ)と呼ばれるエネルギー自給ビル、Zero Energy Buildingへの取り組みが日本でも始まっています。このような最先端事例の実証を重ねることで、新たな省エネルギー手法の費用対効果の裏付けが可能となってきています。

<省エネルギー技術と費用対効果>
省エネルギー技術と費用対効果
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