CRE最前線!

2009/8/1 UP

第2回講座 海外における環境不動産の現状

Question

海外における環境不動産の現状について教えてください。

Answer

海外においても、環境関連の対応に環境不動産の役割がクローズアップされてきています。特に欧米では、温暖化排出削減規制が進んでいる。英国、仏国や、不動産投資市場が大きい米国などにおいて、CO2削減や省エネの観点から環境不動産が注目を集めています。皆さんご存知のように、地球温暖化対策が2008年から2012年まで京都議定書第一約束期間となっており、この期間に先進国全体では少なくとも1990年比で5%の温暖化ガス排出量削減を達成しなくてはならないとされています。

また、2009年末までに、「ポスト京都議定書」として、京都議定書に続く世界的な温暖化対策の枠組みが決定される予定となっており、2009年に入り「ポスト京都議定書」を巡る国際交渉が本格化しています。このような背景のもと、欧米では、「CO2削減」、「省エネ」、「新エネ」を意図した法律・規制が多くなってきており、不動産関係者、不動産市場参加者においても「CO2削減」、「省エネ」を重点的に考慮するようになってきています。

このような中、欧米での環境性能評価基準として、米国ではLEED、英国ではBREEAM、仏国ではHQEが活用され普及してきており、環境不動産の普及に不可欠な存在となっています。

米国では、連邦政府の建物に厳しい省エネ等の目標を課すなど、政府が環境不動産への取組の見本を示しています。また、税控除や補助金などのインセンティブにより民間の環境不動産の普及を促進しようとする傾向があります。

米国グリーンビルディング協議会では、建築物の排出する温室効果ガス削減を目的にしたLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)という評価制度を導入し、現在、認証を受けた建築物が1,283件、登録されている建築物が9,867件となっております(2009年1月現在)。米国で認証件数が順調に増加している背景には、政府をはじめとする公的機関が自身の保有する建築物に対してLEEDの認証を義務付け、先駆的に環境不動産の普及に取り組んでいる点が指摘されています。例えば、カリフォルニア州サンフランシスコ市では、市の事業により新築される建築物と大規模な改築が実施される建築物に対しては、LEED の4段階評価の下から二番目にあたるSilver以上の認証の取得を義務付けています。

一方、米国内の機関投資家がLEED の認証を受けた建築物のみを対象としたファンドを立ち上げるなど、LEEDは投資評価基準としての利用も始まっているようです。今後もLEEDが投資評価基準として活用され、LEED の認証件数のさらなる増加が促進される可能性もあります。

一方、欧州では、政府の見本だけでなく、民間に対してもより広範囲の建物に高い数値目標と厳しい規制を設けることで取組を進めようとする傾向が見られます。

EUにおいては、EUの決定が指令という形でEU各国に示され、これに基づいてEU各国が規制の法律等を作成しています。EPBD(Energy Performance of Buildings Directive:建築物のエネルギー性能に関わる欧州指令)や「20-20 by 2020」 などがありますが、EUは域内で世界的に見ても厳しい規制を率先して設けていくことで、世界の地球温暖化対策をリードしていこうとする姿勢が伺えます。

EUの中でも、英国では、政府が温暖化対策の数値目標を掲げ、それに即した省エネなどの環境対応を求める規制の法律を不動産にも課しており、不動産の環境対応が進みつつあります。2008年に策定したClimate Change Bill(気候変動関連法案)で、2020年、2050年までのCO2の排出量削減の具体的な数値目標を設定しているほか、2008年10月からは、ほとんど全ての建築物の売買、建築、賃貸の際にはEPC(Energy Performance Certificate:エネルギー性能証明書)の取得を義務化しています。

英国の建物の環境性能評価基準であるBREEAM(Building Research Establishment Environmental Assessment Method)は、その認証を受けたオフィスビルが約1,000件あり、約1,750件が承認を待っている状況にあります。建築物全体では、認証を受けたものが約65,000件、約270,000件が認証待ちという状況です(2009年1月現在)。ロンドンの中心部では、BREEAMのExcellentレベルの建物が6万3,000軒以上あるといわれています。なお、BREEAMでは認証の適合水準が高いものから順に、Outstanding(2008年新設)、Excellent、Very Good、Good、Passの5ランクがあります。

このような中、英国では、先進的な不動産関連会社や機関投資家が、環境対応をビジネスに取り入れ始めており、これら先進的デベロッパーや実績のある名門ファンド等の開発・投資主体では、環境不動産の将来価値や差別優位性を明確に意識しています。規制より厳しい省エネ方針を持ち、新築物件は全てBREEAM のExcellentの取得を目指す先進的デベロッパーや、BREEAM に加え独自の環境性能評価を投資基準として設けている不動産投資ファンド、9割以上を占める既存建物の評価に適する環境性能インデックスを開発する企業などが出現してきています。

研究会では、今年1月に欧米でのヒアリング調査をおこないました。

日本の建築環境総合性能評価システムであるCASBEE(Comprehensive Assessment System for Build Environment Efficiency キャスビー)も建物の環境性能評価基準として定着しつつあるのはご承知の通りです。

<主な環境価値評価基準の内容>
主な環境価値評価基準の内容
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