CRE最前線!

2009/5/1 UP

第2回講座 リファイン建築と環境問題

Question

いま環境の話題がでましたが、国土交通省でも「オフィスビルの地球温暖化防止対策検討会」を発足させて、CO2削減に向けた業界横断的な取組みがはじまりましたが、リファイン建築によるCO2削減効果について教えてください。

Answer

複数の大学の研究室(東京大学清家研究室、首都大学東京角田研究室、東京理科大学真鍋研究室)の試算によると、リファイン建築の場合、新築に比べて約84%のCO2削減効果があるということです。(図1参照)

図1 リファインの場合と建替工事の場合とのCO2排出量の比較(段階別) データ提供:東京大学清家研究室
図1 リファインの場合と建替工事の場合とのCO2排出量の比較(段階別)
データ提供:東京大学清家研究室

躯体を有効活用するリファイン建築では、躯体の資材であるコンクリートや鉄筋が不要ですので、そうした資材を生産する際に排出されるCO2の分が削減されることになります。もちろん、それら資材を輸送したり躯体を施工したりする際に排出されるであろうCO2もゼロということになります。また、リファイン建築では、新築に比べて43%の産廃削減効果があります。(図2参照)

図2 リファインの場合と建替工事の場合との建設廃棄物排出量の比較 (廃棄物品目別)データ提供:東京大学清家研究室
図2 リファインの場合と建替工事の場合との建設廃棄物排出量の比較 (廃棄物品目別)
データ提供:東京大学清家研究室

建設業は、業界別の産業廃棄物排出量でも全体量の18.2%(平成15年度実績)と、電気・ガス・熱供給・水道業の22.4%、農業の22.0%に次いで3番目の産廃排出量となっていますが、リファイン建築では躯体以外にも可能な限り使える素材を有効活用しますので、大幅な産廃削減ができます。

こうした地球環境に優しいリファイン建築は、従来のスクラップアンドビルド型の建築手法とは根本的に発想が異なります。大幅なCO2および産廃の削減が可能なリファイン建築が広く一般に導入され、実績が積み重ねられていけば、日本にとって世界に誇る環境技術になることは間違いないと確信しています。

Question

青木さんは「限界団地」問題に取り組まれているとうかがっていますが、そのお話を聞かせていただけますか。

Answer

いま日本で社会問題、あるいは政治問題になっている「限界集落」ということばがあります。過疎化が進み、共同体として機能することが限界にきている集落のことですが、私のいう「限界団地」というのは、老朽化が進み、居住者も減ってしまっている公団住宅やマンションなどの集合住宅のことです。特に、1981年(昭和56年)の新耐震基準以前に設計・施工された集合住宅は、耐震構造上にも問題があります。

高度成長期に全国各地に建設されたこうした「限界団地」を、新たな価値をもつ集合住宅として再生させるということは、日本社会において今後の大きな課題になると考えています。集合住宅のリファインの場合、居住者がそこで生活を続けながら解体や耐震補強をおこなうことを考えなければいけません。その点、すでにお話したように、私はいくつかの建物で居ながら施工の実績を積んできました。その経験を活かせば、しだいに大きな問題になりつつある首都圏での旧い公団住宅や分譲マンションなどの住みながらのリファインも可能です。

住みながら再生を実現するためには、通常必要な業務に加え、次のような業務が必要になります。古代ローマの建築家ヴィトルヴィウスの言葉を借りれば、強・用・美の成立ということになります。

強・用・美の成立の図

従来であれば、その機能を果たさなくなればスクラップアンドビルドするしかない、と考えられていたそうした建物も、リファインによって住みながら耐震補強をし、デザインや設備を一新すれば、再生建築物として新たな価値を獲得し、保存活用されることになります。そして、そうした住みながら再生によって近代建築物の再生が都市的に展開すれば、新しいタイプの都市の重層が形成されることになります。

文化財としてその価値を評価される建築物の場合は、保存活用の道が比較的開けていますが、時代性を示す建築物や建築当初の機能的な利用価値のみを求められてつくられた建築物は、いままで保存活用されることがほとんどありませんでした。そうした建物もリファインによって保存活用していく社会になれば、当初の設計をする建築家の発想自体が変わってくると思います。

リファイン建築に取り組んでいて強く感じたのは、現代の建築の世界では分業が進み、意匠設計、構造設計、設備設計などが専門分化していて、建築全体を見渡す責任者不在の傾向にあるということです。リファインによって既存の建物の再生に取り組むことによって、デザイン、構造、設備の設計を一体的に考えなければならない、ということにあらためて気づかされました。これからは、建築行為を中心とした事業全体をマネジメントできる総合的な能力をもった建築家が必要です。そして、そうした人材を育成する仕組みづくりも考えなくてはならないと思います。

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