CRE最前線!

2009/4/1 UP

第1回講座 リファイン建築の概要と施工事例

Question

はじめに青木さんが実践されているリファイン建築について、その考え方や手法を教えてください。

Answer

リファイン建築とは、ひとことでいえば、老朽化した建物の躯体を活かしたうえで構造補強し、用途に沿ったデザインに一新してその建物を再生する建築技術です。

私は、20年間このリファイン建築に取組み、次のようなリファイン建築の5原則を提唱しています。

  1. (1)内外観ともに新築と同等の仕上がり。
  2. (2)新築の60~70%の予算。
  3. (3)用途変更が可能。
  4. (4)耐震補強により、新耐震設計基準に適合。
  5. (5)廃材をほとんど出さず、環境に優しい。

この5原則に合致するものが、すなわちリファイン建築です。

また、条件にもよりますが、住みながら、つまり建物を使用しながら建物の再生をおこなうことも可能なリファイン建築では、その点の経済的メリットもあります。「福岡市農業協同組合本店ビル」や愛知県の賃貸共同住宅「リベラほうしょう」などで居ながら施工によるリファインを実践しました。

建築現場では、まず建物を覆っているタイルやガラスなどを取り除いて躯体をチェックするところからはじめます。解体作業をおこないつつ、補強や減量を検討していきます。古い建物の躯体を活用しながら補強をするためには、減量という要素がきわめて重要になります。躯体を有効活用することによって、躯体をつくる経費を抑えることができるうえに、躯体を解体・廃棄しないわけですから、産廃やCO2の排出を削減することもできます。

そして同時に、プランニングを進めます。解体、補強・減量、プランニングの3つが渦を巻くように同時進行しながら設計を完成させていきます。(図参照)

リファインするためには、その建物と徹底的に向き合うことになります。その建物の当初の設計図と照らし合わせながら作業を進めていくというのが本来の手順です。が、設計図や構造図が残っていなかったり、図面があっても施工精度が低かったり、実際の現場ではさまざまなことがあります。建物の仕上げを剥ぎ、現れた躯体を図面と現実で再考していると、いつの間にか過去の建物の歴史と会話している自分に気づきます。当初のクライアントがどのような思いでその建物を作ろうとしていたのか、設計者や施工者が何を考えていたのか、あるいは考えていなかったのか。

その建物に秘められた歴史のみならず、その地域の郷土史などにも思いを馳せるように心がけています。歴史に学ぶことによって、その建物やその都市のイメージをふくらませ、リファインにあたってのデザインや建築素材の選択にそれを活かしていくようにしています。

Question

いままでに、取り組まれてきたお仕事について教えてください。

Answer

最近の仕事については、ホームページ(http://www.aokou.jp/)でも紹介していますので、初期の頃の仕事について少しお話しましょう。私が最初に手がけた再生建築は、1987年に委託された大分県鶴見町(現佐伯市)にある旧日本海軍によってつくられた防備衛所跡地を観光スポットに再生するという仕事でした。北イタリアのカルロ・スカルパの再生手法を手本に取り組みましたが、もともと再生建築に関心があって勉強もしていたので、仕事はスムーズに運びました。このとき、こうした再生建築について確かな手応えを感じたことを覚えています。

防備衛所跡地


Before.

After

Before.

After

Before.

After

Before.

After

2つめの仕事は、1991年の別府市にあるホテル(アートホテル石松)の再生でした。そのホテルは初期の木造の建物と回転ラウンジをもつ高層の建物から成っていました。この仕事では、そのホテルの原点である木造の建物をエントランスロビーとして使うことで、そのホテルにしかない空間をつくり、歴史を伝えていくことを提案しました。

アートホテル石松


Before.

After

3つ目の大分県緒方町の町役場(1995年)、4つ目の社会福祉法人博愛会通勤寮(1996年)は、どちらも増築をともなう再生でしたが、構造上不要な壁を解体して軽量化をはかり、スペースの使用目的の変更をおこないました。

大分県緒方町の町役場

博愛会通勤寮

4つ目の仕事は、1999年に委託された森林研修センターを宇目町役場へコンバージョン(用途変更)するという仕事でした。用途変更に伴う床荷重のオーバー分を軽量化によってクリアし、ダイナミックな形態をもたせるために外観のデザインを一新して増築をはかりました。もちろん設備も最新の仕様にあうように変更しました。この仕事を機会に、単なる増築やリニューアル、リフォームとは異なった再生建築手法をリファイン建築と名づけました。

Question

リファインとリニューアルは、どのように違うのでしょうか。

Answer

リファインは、通常のリニューアルとは根本的に考え方が異なります。リニューアルの場合は、その99%は構造にまでは手を入れません。デザインや設備を変更するだけというのが普通です。実際のところ世間には、耐震補強をしないデザイン変更だけのリニューアルばかりが目につきます。しかし、それでは建物の長寿命化をはかることはできませんし、安全性にも問題が残ります。

例えば、いまここに築30年の老朽化が進んだ建物があるとします。私の考えるリファイン建築では、その建物の耐震性能をアップさせて現在の建築基準にまで引き上げ、さらに30年の使用に耐えるようにします。そして30年経って再度リファインすれば、その時点からさらに30年、つまり建築当初からみれば100年の使用に耐える建物になるということになります。もちろん、そのためには、30年ごとのリファインを前提とした設計にしなければいけません。こうした長期的な視野に立った制度設計をリファインの進化系「リファインニング」と呼んでいます。

もちろん、一度リファインすれば30年間放っておいて良いということではありません。定期的なメンテナンスは必要になります。しかし、そうした手間をかけても、ひとつの建物を100年以上もたせるリファイン建築は、限られた資源の有効活用や地球環境への配慮といった点で、環境技術としてもおおいに期待されると考えています。

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