CRE最前線!

2008/10/1 UP

第2回講座 CRE戦略マネジメントに必要な人材と情報システムとは?

今回は、17年前に日本ではじめて不動産学部を創設した明海大学不動産学部の中城康彦教授にCRE(企業不動産)戦略におけるIT(情報システム)の重要性と、CRE戦略をマネジメントする人材の育成についてお話をうかがいました。

中城教授は、CREC(CREマネジメント推進コンソーシアム)の顧問として、日本におけるCRE戦略の普及・推進にも尽力されています。

1.ITが果たす役割

Question

CRE戦略実践にあたって、ITが果たす役割、あるいはその重要性について教えてください。

Answer

信じられないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では、大企業をはじめとして、ほとんどの企業で、その所有する不動産の実態が把握できていないという現状があります。今年の初夏に国土交通省が発表したCRE戦略のガイドラインでは、そうした現状にある日本の企業がCRE戦略に取り組むためには、まず第1ステップとして、自社が所有する不動産物件、つまりCREを棚卸しするところからはじめるべきである、ということを指摘しています。

現在、日本の企業では、CREを総務や管財、あるいは事業部ごとにばらばらに管理しているというのが実情です。そうした状況では、その企業に何かあったときに、必要にして充分な対応をとることは不可能です。これからは、企業が所有するCREを一元管理し、常時その状態・状況をチェックし、必要に応じて適切な処置・対応がとれるようにしなければなりません。そのためには、ITを活用してCRE情報を一元管理することが必要不可欠になります。社内の関係部署のひとびとが、瞬時に自社のCREの実情・実態をチェックできるようなシステムを構築して、はじめて有効なCRE戦略が実践できることになります。従来のような紙ベースの情報管理では、とてもそれは望めません。

CREをITシステムによって一元管理し、CRE全体を見渡すことによって、企業経営における自社のCREの問題点が明らかになってきます。そうすれば、それに対する処方箋も考えられ、問題解決のための行動にうつることも可能になります。そういった意味では、ITでCRE情報を一元管理するということは、CRE戦略を実践するための基本といえるでしょう。CREをITで管理してこそ、CRE戦略のマネジメントサイクル(リサーチ・プランニング・プラクティス・レビュー)を実践していくことが可能になります。

別ないい方をすれば、ITシステムによって自社のCREの維持管理費や賃料収入、諸経費などを常にモニタリングして、企業経営上必要な判断の材料にすることはCRE戦略の基本といえます。

2.CREを一元管理するために

Question

CREを一元管理するためには、どのようなITシステム、あるいはソフトが必要になるのでしょうか。アメリカでは、アーガス(ARGUS)といったようなソフトも普及していると聞きますが。

Answer

アーガスは、確かに大変良くできた不動産鑑定ソフトです。しかし、日本企業のCRE管理には、やはり日本にあった、和製のソフトが必要になるだろうと考えています。たとえば、日本では、アメリカとは異なり、土地と建物に別の権利を認めています。そのことひとつをとっても、日本の実態に即したソフトでなければ日本企業のCRE情報の管理は難しいことがお分かりいただけると思います。

CRE戦略の実践に求められるITシステムをCRE戦略のマネジメントサイクルに対応させて考えると、現況のCREに関して、「ひと」、「もの(土地・建物)」、「かね」についてリサーチができること、そしてその改善すべき点を抽出し、それに優先順位をつけた改善策がプランニングできること、さらにその改善策に関してひと、もの、かねを組み合わせたプラクティス(実践)ができ、そして実践された改善策に関して効果をレビュー(判定)し、さらなる課題抽出のためのリサーチにつなげられる、そういったシステムが必要だと考えています。日本の実情に即したCRE戦略のマネジメントサイクルに対応するには、海外で使われている既存のシステムやソフトでは充分な効果が期待できないと思います。

現在活用されているCREには、大別して、所有自用の物件、賃貸物件、売買物件の3つがあります。したがって、CRE戦略実践のためのITシステムは、建築や不動産に関する情報、あるいはそれらの市場に連携したものでなければならないのは当然です。そして忘れてはならないのは、そのシステムが税務、法務、会計など企業経営と連携・統合ができるものでなければならない、ということです。つまり、CRE戦略は、これからの企業経営においてはその中核を担う戦略であるからです。

とはいっても、現状では、まずCRE情報を整理し、一元管理することを主目的にしたシステムを企業が導入していくところから始めるべきだと思います。最初から、あれもこれもシステムに盛り込もうとすると無理があるでしょう。経営判断の助けになるCRE情報を整理し、一元管理するシステムからスタートするというのが現実的だと思います。

ITシステムの構築は、CRE戦略を実践するにあたって欠くことのできないものですが、それを社内で独自開発するということになると、大変なコストがかかることになります。私は、やはりCRE戦略・CREマネジメントのノウハウをもった専門家集団がシステムなりソフトを開発して、それを企業に提供していくというのが合理的だろうと思います。また、そうしたシステム開発は、官主導ではなく、民間主導でおこなわれるべきだとも考えています。

図:CRE戦略の展開
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