CRE講座

2009/2/1 UP

第2回講座 CREと事業の関係について

次に使用価値と市場価値という概念の整理をしたいと思います。

まず、使用価値とは、「自社の能力によって稼ぎ出すキャッシュフロー(CF)の現在価値」と言われていますが、これは皆さんの会社で実は「価値」というものを創出できるということです。皆さんの事業がどんどん利益を生み出しているのであれば、使用価値というものは無限に高くなっていきます。おそらく企業のあるべき姿とは、そういう状態になっていることだと思います。

しかし、もし使用価値より市場価値のほうが高い、つまり市場で評価されている価値のほうが高いとしたら、世の中に御社以上に、その不動産をうまく活用することによって「価値」を出せる能力のある人がいるということになります。この辺を注目しながら、皆さんは経営をしていく必要があるのではないでしょうか。

一番危険とされるのは、市場価値はとても高いのに、自分たちが稼ぎ出している価値は非常に低いということです。これが投資家によく狙われるポジションなのです。

対策としては、できればそれをうまく活用して、例えばその不動産を使って何らかの事業を行うとか、今まで既存の事業をそこの不動産で行うということもありますし、極端に言うと外部に売却する可能性も考えられると思います。

次に、会計コンバージェンスの話をさせて頂きたいと思います。

まずは「減損」についてすすめます。減損のプロセスの中で、最初に「グルーピング」という手続きがあり、その後「兆候の判定」「減損の認識」「測定」、最後は「損失の計上」ということになります。一連のプロセスの中で、今回一番影響が大きいのは、「減損の認識」のところです。

この認識のところで何が起こるかと言うと、[資料1]にも「割引前キャッシュフロー」と書いてありますが、今までは、資産から出てくるキャッシュフローを、最大で20年分の価値を割り引かない金額の累計と帳簿価格を比較しましょうという話で、相当高い金額と簿価を比較するということになるので、実際には、なかなか減損にはかからないという結論が想像いただけると思います。

[資料1]
[資料1]減損会計の方向性

ところが、国際会計基準では、現在どのようになっているかと言うと、減損の測定のところと同じです。これは「割引後のキャッシュフローで」というルールになります。

これにより減損認識のハードルが相当下がってくると思われます。かなりの確率で、減損の認識をせざるを得ないという事態が予測されます。つまり、減損の対象となる範囲がどんどん増加していくことになります。

これまでは減損とならなかった所有の不動産についても、これからは減損になりますよということが言えるにではないかと思っています。

減損というのは、とても古くて、しかし新しいテーマかもしれません。

一部の会社さんの有価証券報告書を色々な機会で見ることがあるのですが、かなりの会社が毎年何らかの減損損失を計上されているという印象があります。今後も減損については、ルールがさらに厳しくなり、ますます減損の損失を計上をせざるを得ない状況になっていくのではないかと考えています。減損にかかると、もちろん会計処理上、御社の会社のPLに減損損失を計上しなくてはなりません。これは好ましくない状況ですが、一つ考えていただきたいことは、減損になりそうな資産というのは、恐らくその資産の上で行っている事業に何か問題が発生しているのではないかということです。

今までは良かったけれども、今後は減損損失を計上しなくてならないということは、キャッシュフローが弱ってきている、といった事態が考えられるわけです。

つまり、皆さんがその減損の対象となっている資産の上で実施している事業に、何か異変が起きているということに着目して頂きたい、減損を避けるということではなく、その減損の現象を一つのシグナルとして見て頂きたいということです。

しかし、減損損失をしなかったので良かったということだけではなく、例えば、会計上で減損損失を計上することとは別に、使用価値や時価というものをいつも把握していれば、御社の事業の中で何か問題が起きているということを認識する一つの指標になるということです。日土地ではこのようなプロセスをお勧めしているわけです。

減損というものは減損を恐れるということではなくて、自社の事業に何か問題が起きている可能性があるということを分かっていただくための、非常に重要なツールとして捉えていただきたいということです。

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