CRE講座

2008/12/1 UP

第4回講座 今後の方向性と影響

続いて、投資不動産も含めた今後の方向性と影響についてのご説明に移りたいと思います。6月30日に、企業会計基準委員会から投資不動産の時価評価に関しての公開草案が出されました。国際会計基準は時価評価して財務諸表に反映するか、又は取得原価で計上し時価を注記するか選択ですが、日本の今回出てきた公開草案は時価の注記です。

草案内容は、時価の注記だけでなくて、投資不動産の概要、貸借対照表価格、それと時価を両方書かないといけません。加えて収益も開示の対象になっています。そのとおり確定する可能性は極めて高いのではないかと思います。これによって、直接時価評価しなくても一定の開示をしますから、国際基準とのコンバージェンスは許容範囲ではないか、国際基準と同等と言えるルールではないかと思うのです。

投資不動産というのは、賃貸収益、資本増価、またはその両方を目的として保有する不動産であるという定義になっています。具体的には、賃貸ビル、賃貸店舗、賃貸マンション、賃貸アパート、それから遊休地などが該当します。遊休地を一時的に駐車場として利用している場合には、投資不動産に該当するとされております。その反面、通常の事業目的で保有する土地建物、例えば本社ビル、自社で使用する工場、あるいは自社で使用する店舗などは投資不動産には該当しません。販売目的で所有する土地建物も除かれます。今回の公開草案で1つ着目しておくべきは、連結財務諸表作成会社の場合は、連結ベースで注記することができるとされている点です。個別の注記は必要ないという内容が盛り込まれています。次に、投資不動産の時価をどのように評価するのかという問題が重要かと思います。もちろん時価は「公正価値」としており、重要なポイントは、不動産鑑定評価基準による評価基準が原則と考えているということです。

国際会計基準と同等のルールに移行した場合においては、投資不動産の公正価値の変動が、企業活動の成果として評価の対象になることを意味します。DCF法による評価額が、やはりこの企業評価においてより重視されることになることも予想されます。

このDCF法による評価が、今回のこの投資不動産の時価評価のルールの導入によって、より重視されていくことも考えられます。また投資不動産に対する継続的なパフォーマンスの評価が重要な課題になっていくかと思います。これは時価の開示だけでなくて、収益の開示まで毎決算期要求されますから、このパフォーマンスの評価というのが、各企業さんにおける重大な課題になってくるのだと思います。

企業結合会計につきましても、コンバージェンスの差異項目の見直しが順調に進んでおりまして、これも6月に公開草案が出ました。持分プーリング法の廃止が明確に公開草案に盛り込まれました。これもある程度予想どおりです。

また、今回の公開草案では、のれんの償却の扱いについては「負ののれん」、負ののれんというのは負債勘定に挙がるのれんについて、現行のルールは規則的一定年数で規則的に償却する、規則的に利益に計上していくというルールになっていますが、これが一遍に一時の利益で計上するという内容となりました。

ただ、今回は借り方のれんの償却の扱いについては、まだ引き続き議論をされていくのだと思います。借り方のれんの償却については、国際基準や米国基準は償却しないというルールになっていて減損のみになっている。ところが、日本の基準はのれんは正ののれんも償却する形になっており、そののれんの償却については、今後引き続き見直しをするかどうかは議論の対象になっていくのだと思います。

最後に、このコンバージェンスと経営戦略についてまとめさせていただきました。

まずは、株主価値の最大化という観点から、常に経営者にとっては資産の効率化に向けた努力は必要だということが言えます。

二つ目は会計基準のコンバージェンスの進行によって、財務、経営の透明化が一層高まり、経営判断の正否がより明確に示されるということが言えるわけです。企業の経営判断が成功したのか失敗したのかを、できる限り数値として表すというのが、会計基準の役割だというふうに申し上げましたが、コンバージェンスが進行することによって、そこは一層明らかになっていきます。経営判断の正否がより明確に決算書に示されるようになるということです。

三つ目は、会計基準のコンバージェンスは、資産の効率化に対して、経営者が真剣に取り組む重要なきっかけを提供するものと捉えることができます。前向きに対応していくことが、結果としては経営の効率化につながり、望ましい好循環をもたらすことになります。

ですから、会計基準の国際化が進んでいくということは、説明責任がより明確になっていき、財務数値が経営判断の正否をより明確に表すということは、説明責任もより明確になるということなのです。そうすると、その説明責任を果たすという観点から、経営への取り組みも真剣に行った上で、株主や投資家に対してそれをきちんと説明をしていくということが、当然必要になってきます。そのためには、資産の運用状況などを正確にウオッチして、資産の効率化に向けた努力を、日ごろどのように行っていくかということを明確にしておかないと、説明責任を十分に果たすことはできないという結論になってしまうと思います。ですから、コンバージェンスの今後一層の進行が予想されますので、経営上の観点からいくと、このコンバージェンスの進行というのは、極めて無視できないものであって、経営者は常にこの問題に対しても真剣に向き合っていかないといけないということが言えるかと思います。

本日は会計基準の国際化と経営戦略というような観点から、経営上の影響それと対応について、解説をさせていただきました。長いお時間にわたりまして、大変ありがとうございました。

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