CRE講座

2010/12/15 UP

「減損会計」適用事例の検証 ~2010年3月期の有価証券報告書からみた傾向とその分析~

2.業績悪化局面における減損会計の影響

企業の業績が悪化した場合に、資産または資産グループに減損の兆候が生じる場面が増加する。適用指針には、減損の兆候について下記の4つの例示が示さ れている。

まず(1)の「営業活動から生じる損益またはキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、あるいは、継続してマイナスとなる見込みである」という判定例であるが、「継続してマイナスとなっている」とは、過去2期連続してマイナスであっても当期以降の見込みが明らかにプラスの要件に当てはまる場合は、兆候に当たらないとされている。企業全体としては回復基調にあったとしても、個々の資産グループでみたときに、回復が見込まれないものは兆候に該当することになる。

また、(2)については、従来から遊休状態になった固定資産が減損の対象になるケースが多いが、最近の傾向としては、製造設備の稼働率が著しく低下した状態が続いているケースで減損の対象になる事例が少なからず見られる特徴がある。

(3)「経営環境の著しい悪化」としては、市場環境の悪化、技術的環境の悪化、法律的環境の悪化が考えられ、それぞれについての具体的例示も適用指針に示されているが、経営環境の著しい悪化は、個々の企業において大きく異なるため、適用指針は例示を示しているに過ぎない。その具体的な内容は、個々の企業の状況に応じて判断する必要がある。

(4)「市場価格の著しい低下」については、不動産について認識されるケースが過去において多かったが、最近では減損の兆候に当たるほどの著しい低下はないため、該当事例は少ない傾向である。ただし、遊休資産について時価の著しい下落を理由として減損している事例はみられる。

【減損の兆候の判定例】

  1. (1)資産または資産グループが使用されている営業活動から生じる損益またはキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、あるいは、継続してマイナスとなる見込みである。
  2. (2)資産または資産グループが使用されている範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させるような変化が生じたか、あるいは、生じる見込みである。
  3. (3)資産または資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、あるいは、悪化する見込みである。
  4. (4)資産または資産グループの市場価格が著しく下落した。

3.製造業の傾向と分析

製造業に関しては、次の事例のように、製造設備の稼働率の著しい低下が減損の原因となる事例が多い。稼働率の著しい低下の要因が一時的なものに過ぎず、回復が見込まれる場合は別として、その要因が一時的なものでなく、近い将来の回復が見込まれないようなケースでは、兆候に当たるだけでなく、将来キャッシュ・フローの見積りによる減損の判定で減損損失の認識が必要と判断されることが想定される。

A社(2010年3月期)

当社グループは、事業用資産については、会社、事業部もしくはそれに準じた単位で資産のグルーピングを行っている。生産中止等による処分の意思決定を行っている資産については個々の単位で把握している。遊休資産等についても個々の単位で把握している。

当社グループ○○工場が所有する製造設備については、稼働率が著しく低下し回復する見込みがないので、当該資産の帳簿価額を備忘価額まで減額し、その減少額を減損損失(○○百万円)として認識した。

top
  • CRE講座 TOPへ
  • 目次に戻る
  • バックナンバー

法人のお客様へ 都市開発・不動産ソリューション・資産運用 トップ

CRE戦略支援についてのお問い合わせはこちら

  • 都市開発
  • オフィスビルのご案内
  • 開発プロジェクトのご紹介
  • 企画・開発/監理
  • 施工(建設工事・ビルリニューアル工事)
  • プロパティマネジメント
  • 不動産再生
  • 不動産ソリューション
  • CRE(企業不動産)戦略支援
  • CRE戦略とは
  • CRE戦略の必要性
  • CREマネジメントサイクル
  • M&A時代におけるCRE戦略
  • サービスのご案内
  • 戦略立案コンサルティング
  • CREXα(クレックスアルファ)
  • 賃貸等不動産コンサルティング
  • プロジェクトマネジメント
  • CRE SOLUTION Report
  • CRE最前線!
  • CRE講座
  • CRE SOLUTION Report不動産情報誌発行のご案内
  • 事例のご紹介
  • 遊休地の売却依頼に、操業中の工場売却を提案
  • 不動産価値を適正に把握することで、店舗賃料を削減
  • 遊休地に取引先の拠点を建設
  • 経営資源の観点から、不動産情報を一元管理
  • 旧本社跡地を高齢者向け賃貸住宅として再生
  • 査済証のない旧耐震建物を助成金対象へ
  • 不動産鑑定
  • 不動産仲介
  • 不動産証券化
  • 資産運用
  • 資産運用
  • 安心・安全への取り組み
  • 日土地のCRE戦略支援
  • CRE SOLUTION Report