CRE講座

2010/6/15 UP

資産除去債務への実務対応

3.合理的な見積りができない場合とは

資産除去債務の合理的な見積りができない場合は、資産除去債務を計上しないが、一定の注記が求められる。合理的な見積りができない場合とは、除去の履行時期や金額の合理的な見積りが困難なケースである。

この点について、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」では、「資産除去債務を合理的に見積ることができない場合とは、決算日現在入手可能なすべての証拠を勘案し、最善の見積りを行ってもなお、合理的に金額を算定できない場合をいう。」(適用指針2項)とされているため、限定的に取り扱うべきであるとの意見が大勢である。最善の見積りを行うように努めなければならないと考えられる。

4.不動産関連で今後注意すべきもの

以上の内容から、定期借地権の賃借契約、不動産の賃借契約を締結するときに、資産除去債務の影響を把握しておくことが必要と考えられる。

企業は、投資を行うときに、従来、不可避的に生じる除去債務を考慮しないケースもあったと思われるが、今後は、会計処理に反映されるため、企業の投資判断において除去支出も投資について回収すべき額として考慮して投資を行う傾向が強くなるものと思われる。したがって、たとえば定期借地権契約(30年)を締結して、その土地を事業に利用する場合、上物である建物等の有形固定資産を建設して利用するに際して、30年後の除去支出額(見積額)が、結果として各事業年度の損益にどのように影響するのか、投資の意思決定において考慮することになろう。

5.敷金を資産計上している場合に認められる簡便処理

建物等の賃借契約において、当該賃借建物等に係る有形固定資産(内部造作等)の除去などの原状回復が契約で要求されていることから、当該有形固定資産に関連する資産除去債務を計上しなければならない場合がある。この場合において、当該賃借契約に関連する敷金が資産計上されているときは、当該計上額に関連する部分について、当該資産除去債務の負債計上及びこれに対応する除去費用の資産計上(原則処理)に代えて、当該敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、そのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法(=敷金を期間にわたって償却する方法)によることができる。

返還が見込めないと認められる金額が敷金の額を上回るようなケースについて、この簡便処理の適用が認められるのかという論点が指摘されている。私見では、この簡便処理は、敷金が資産除去債務の精算に利用されることを前提として実質的に相殺する会計処理を認めていることからすれば、「敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額」とは、敷金の範囲内の金額であると考えられる。

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