CRE講座

2010/6/15 UP

資産除去債務への実務対応

1.資産除去債務の定義と具体例

「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発または通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令または契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう(「資産除去債務会計基準」3項(1))。したがって、有形固定資産の除去が企業の自発的な計画、企業の意思決定により行われるケースが大部分であるが、それらは資産除去債務の計上対象外である。具体的には次のようなものが該当する。

【資産除去債務の具体例】

  1. 1原子力発電施設の解体撤去などの後処理義務
  2. 2定期借地権に係る原状回復義務
  3. 3賃借建物に係る原状回復義務(造作等の除去義務)
  4. 4有形固定資産に使用されている有害物質(アスベスト、PCB等)に係る除去義務
  5. 5鉱山等に係る原状回復義務(採掘跡地の埋め戻し、植栽、鉱害の防止義務、鉱山上の設備解体撤去義務など)
  6. 6石油、天然ガスの採掘施設の原状回復義務
  7. 7ゴミ処分場、産業廃棄物処分場の後処理義務

一般の事業会社において、計上対象になりうるのは、上記のうち2から4が多いものと考えられる。

2.財務面に与える影響

(1)会計処理の内容と財務面に与える影響

会計処理は、債務として負担している金額を(資産除去債務として)負債計上し、同額を有形固定資産の取得原価に反映させる処理を行う。これを「資産・負債両建て方式」という。

将来の除去支出を見積もり、それを現在価値に割り引いた金額を資産除去債務として負債に計上する。いったん計上した資産除去債務は、毎決算期において利息費用が発生すると考え、利息費用と同額の資産除去債務が増加する。

図 会計処理の内容と財務面に与える影響

一方、有形固定資産の取得原価に加算した金額は、耐用年数にわたって減価償却を通じて費用配分される。毎決算期における損益への影響は、1利息費用、2有形固定資産に加算された除去費用に係る減価償却費である。また、除去した時に、当初見積もられた除去支出額と実際に支払われた金額との差額が、履行差額として損益に計上される。

(2)適用初年度特有の影響(原則として特別損失が発生)

適用初年度においては、過去に発生したものであっても、除去が終了していないものが、原則として資産除去債務の計上対象になる。次の図表で表わされているように、適用初年度の期首における有形固定資産に加算すべき除去費用に係る金額と、資産除去債務の計上額に差が生じ、それが原則として特別損失に計上される。

企業の状況如何では、特別損失が多額に計上されることもありうるので、十分な注意が必要である。

図 特別損失が計上される仕組み
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