CRE講座

2010/3/1 UP

第3回セミナー アスベスト・PCB

鉄という素材は一定の温度までは強度を発現できるが、約500℃を超えると一気に強度が低下する。2001.9.11の同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービルも、突入した飛行機が鉄骨構造を被覆している耐火材を剥離させ、燃え上がった航空燃料が直接鉄を加熱したために強度が一気に低下して崩落のきっかけが発生したと言われている。この鉄を火災から守るための「耐火被覆」に使われたのがアスベストである。我が国に於いても1975年頃まで耐火被覆として、またボイラー周りや配管類の保護材として盛んに用いられた。さらに、一般住宅でも安価で性能の良いことから屋根材や外壁材として大量に使用された。

配管エルボの保温材
配管エルボの保温材

1.アスベスト

アスベストは「石綿」とも呼ばれ、鉱物の一種である。この石綿は「綿」という言葉が示すとおり繊維状の鉱物であり、耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性といった優れた特性を持ち耐久性が高く安価であるため工業分野や建築には大量に使われてきた。しかし、この繊維状の性質がやっかいであり、細片化したアスベストは肉眼では見えないほどの小ささ(髪の毛の1/5000程度の太さ)になって空中に飛散する。人間の肺の最深部は数百ミクロンのブドウの房のような風船状になっており、ここに綿や羊毛、紙の繊維などが進入しても、食細胞がこれらを包み込みタンとして排出できるが、アスベストのような鉱物繊維を吸い込むと肺の繊維組織が増殖する肺繊維症を生じ、肺気腫や肺がん、悪性中皮腫などの発症につながる。しかも、発症まで15年~40年と、非常に長い時間がかかるため問題が複雑化する原因物質である。

ロシアやカナダから輸入されたアスベストの一部は自動車用のブレーキなどに使われたが90%以上が建築用途である。製品の形状としては、吹きつけ材と成形版がある。吹きつけ材はセメントに混入して耐火・断熱目的として構造材に30mm~60mmの厚さに吹き付けられており、経年変化によってアスベストがセメントから遊離して空気中を浮遊する。成形板はアスベストをセメントで固め、高圧養生したものであり、経年変化によってアスベストが遊離することは少ないが、建物解体時に細片となって空中を浮遊する可能性が高い。

石綿含有天井材
石綿含有天井材

アスベストが盛んに使用された時期は日本が高度成長期に湧いていた1955年~1975年に建築された物件であるため、この時期の物件を扱う場合には注意が必要である。また、1975年から1989年にかけてはロックウール断熱・吸音材として使用されており、これも注意を要する。

アスベストは耐火被覆としての使用が多いため、先ずは耐火建築物がターゲットになる。具体的には先に述べた時期に防火地域や準防火地域に建てられた3階建て又は200㎡以上の鉄骨構造建築物にはアスベスト吹きつけ材が使用されていると考えてほぼ間違いないだろう。確認するには点検口などから構造体を目視するだけでも容易に判定が可能だ。

鉄骨耐火被覆1
構造材にまんべんなく吹き付けられている。
鉄骨耐火被覆2
鉄骨構造の吹きつけ状況

アスベストの除去に当たっては労働安全衛生法(石綿障害予防規則)、廃棄物処理法をはじめとするさまざまな規制や手続きがある。さらに、不動産鑑定評価基準では石綿を使用した建築物について、飛散防止や除去の措置等、対策工事の必要性から建物の経済価値に影響を与える要因としている。また、2007年の同基準改訂によって、証券化対象不動産については不動産鑑定士以外の専門家による調査が必要となった。宅地建物取引業法第35条に基づく重要事項説明においても、当該建物について石綿(吹きつけ)使用有無の公的調査記録がなされているときは、その内容が説明事項に定められている。

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