CRE講座

2010/2/1 UP

第2回セミナー 建物耐震

日本は地震国であるため、建築の構造は常に耐震性と言うことを念頭に造られてきた。法隆寺五重塔の芯柱は中心で錘(おもり)+振り子のような作用を起こし、地震の揺れを軽減していることはよく知られている。また、関東大震災を始め阪神淡路大地震や新潟県中越地震など大きな地震があるたびに建築関連の法令が改正され、耐震性の向上が図られてきた。とくに大きな構造法規の改正は1981年の新耐震設計法の制定で、それ以前と以降では耐震性能に大きな違いがある。

手前は1981年以前、後ろは1981年以降の建物。
手前は1981年以前、後ろは1981年以降の建物。

一方、先日の新聞報道によると国の耐震基準を満たしている病院は全国の56%で、災害拠点病院や救急救命センターなど耐震構造が指定要件になっている病院ですら62%に止まるそうである。内閣府では来年3月までに、62%を71.5%まで引き上げる意向のようだが、重要拠点である病院施設ですらこの数字であることを考えると、一般建築の耐震化率はかなり低い数字と推定できる。

ちなみに、阪神淡路大震災後の調査で、耐震性を備えている住宅(共同住宅含む)は全体の40%と推計されている。この40%を押し上げるべく、平成7年に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(通称「耐震改修促進法」)が制定された。しかし、この法律では戸建て住宅や分譲マンションなどは規制範囲外であり、耐震診断・改修の努力義務は課せられていない。

さて、不安の多い建物の耐震性能だがここでは紙幅も限られているので、リスクマネージメントに関連する「建築物構造性能評価」と「予想最大損失率(PML)」につて述べてみよう。

1.建物の耐震性を示す「構造性能評価書」

建築物は全ての設計や構造計算が終わると建築確認申請という段階に入る。もちろん大規模なマンションや商業施設では事前に行政側と打ち合わせを行い、調整がなされるが確認申請は設計業務の一つの峠である。確認申請がなされると行政機関の建築主事又は指定確認検査機関が意匠や構造、設備などについて法的なチェックが行われ不備な場合は差し戻され、合法的と判断された場合は確認済証が交付される。ところが、建築構造にはさまざまな方式がある上に、設計者によっては独創的な構造を以て設計する場合があり、建築主事や検査機関レベルではその耐震性を判断できない場合がある。このような場合及び高さが60Mを超える建築物は国土交通大臣が管轄する指定性能評価機関に判断を委ねることになる。指定性能評価機関のチェックを通過すれば「構造性能評価書」が発行される。これが「大臣認定」の取得で、高層マンションの顧客向け資料などに記載することができる。建築確認申請についても「構造性能評価書」の添付によって許可が出る。

しかし、10~15階建て程度のマンションやオフィスビルでは「構造性能評価書」と無縁であり、別途作成しない限り客観的に構造強度、ひいては建物の耐震性を示すデータに乏しい。一定の要件を満たす場合に「構造性能評価書」を取得することは義務であるが、それ以外の場合、例えば低層建築物であっても申請して「構造性能評価書」を取得することができる。これを販促ツールに利用せよとまでは言わないが、顧客に対して客観的評価を示せることは大いなる武器になることは確かである。

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