CRE講座

2009/11/1 UP

第5回セミナー 国際会計基準の最新動向

1.はじめに

国際会計基準とのコンバージェンスは計画通り進行しており、2011年6月末までに差異を解消するとの「東京合意」もその通り実現する見込みである。一方、国際会計基準そのものを採用(Adoption)については、本年6月に企業会計審議会から「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」(以下、「中間報告」)が公表され、一定の要件を満たした一部の適格企業について2010年3月期からの(任意)適用を認めるものとされ、それに対応する連結財務諸表規則の改正案が公表されているところである(執筆現在は公開草案)。

最終回の本稿では、最新の動向と今後の方向性について解説する。なお、本稿の意見にわたる部分は、筆者の私見であることをお断りしておきたい。

2.コンバージェンスの継続と連結先行の考え方

(1)コンバージェンスの継続の必要性

先の中間報告では、「(前略)我が国資本市場の魅力を高め、ひいては経済活力の維持・向上を図っていく観点から、市場の公正性・透明性の確保、投資者保護の視点を改めて確認し、東京合意における既存の差異以外のIASBで検討中の基準を含め、高品質かつ国際的に整合的な会計基準およびその運用に向けたコンバージェンスの努力を継続していくことが必要である。」との認識が示されている。

コンバージェンスは、2011年6月末をもって完了するのではなく、現在IASBにおいて検討されている新しい会計ルールに対しても引き続きコンバージェンスの努力を継続していく必要性があることは、誰も否定しないであろう。

(2)連結先行の考え方

中間報告において、次のような「連結先行」の考え方が提示されていることに留意する必要がある。すなわち、「(前略)コンバージェンスの推進には、これまでの会計を巡る実務、商慣行、取引先との関係、さらには会社法との関係および税務問題など調整を要する様々な問題が存在する。こうした状況を踏まえ、今後のコンバージェンスを確実にするための実務上の工夫として、連結財務諸表と個別財務諸表の関係を少し緩め、連結財務諸表に係る会計基準については、情報提供機能の強化および国際的な比較可能性の向上の観点から、我が国固有の商慣行や伝統的な会計実務に関連の深い個別財務諸表に先行して機動的に改訂する考え方(いわゆる「連結先行」の考え方)で対応していくことが考えられる。」としている。

連結先行の考え方は、コンバージェンスを推し進めていくうえでの方法論として提示されているものであり、一定の理解が得やすいものと思われる。しかし、連結財務諸表の改訂を個別財務諸表に先行させて対応していくということは、連結財務諸表と個別財務諸表のそれぞれの会計基準に相違が生じ、会計を巡る実務、商慣行、取引先との関係、さらには会社法との関係および税務問題など調整を要する様々な問題が介在することを考えた場合に、両者の乖離が長期間にわたり残ることになるおそれが十分にあると考えられる。

連結原則において、連結財務諸表は連結会社の個別財務諸表を基礎として作成するとの一般原則(個別財務諸表基準性の原則)が定められていて、連単分離に対して強く反対する意見はよく見られる。筆者は、連単分離そのものを容認する余地があると考えているから、連結先行には特に反対しない。

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