CRE講座

2009/9/1 UP

第3回セミナー 米国の動向と日本の課題

1.はじめに

本連載の第1回および第2回では、国際会計基準のこれまでの歴史を中心として、日本のこれまでの対応などを見てきた。第3回においては、米国の最近の動向を取り上げたい。米国の動向いかんによっては、日本の今後の対応は大きく影響を受けることになるが、最新の状況を概観することとしたい。

なお、本稿の意見にわたる部分は、筆者の私見であることをお断りしておきたい。

2.EUの同等性評価に対する米国の対応

IFRSがここまで世界的に認知されるようになった背景としては、EUの戦略によるところが大きいといえる。すなわち、EUは、2005年からEU域内企業の連結財務諸表についてIFRSの義務化をしたが、同時並行的にEU域外企業に対してもIFRSまたはIFRSと同等の会計基準に準拠した財務諸表の作成を求める戦略を採ってきた。本連載の第2回で解説した「同等性評価」といわれる対応である。

EU域外企業は、IFRSまたはIFRSと同等と評価される自国基準に準拠しなければならないということで、IFRSを強く意識せざるを得ない流れが生じたといえる※1。また、実際にIFRSを導入する動きが広まったといえる。米国および日本は、その同等性評価に対応する観点から、IFRSと自国基準との差異を解消していくために、コンバージェンスを精力的に実施してきたわけである。これまでの動きは、同等性評価を受けるため自国基準を見直すことが中心であったと見ることができる。

米国証券取引委員会(SEC)は、2005年4月にコンバージェンスに向けたロードマップ(Nicolsen※2)を示し、また、米国会計基準設定主体(FASB)も、2006年2月にIASBとの間でコンバージェンスに係る覚書を締結している。その後その流れに沿って、米国基準とIFRSとのコンバージェンスが進められてきたことは周知のとおりである。また、米国の域外企業に対してIFRSの適用を認め、米国基準への調整表の作成・開示を不要とする旨が2007年11月に決議されている。外国企業の米国への参入障壁と指摘され、米国の国際競争力を弱めるとの指摘も見られ、コンバージェンスの流れの中で実現したものである。Nicolsenロードマップがこれら一連の流れのベースになっているとも見ることができるが、もちろんその遠因としてIASBの設立およびIASBとFASBとの間の「ノーウォーク合意」(2002年9月)が重要である。

その意味で、日本の採ってきたスタンスも米国と実質的に同様であったといえる。そのコンバージェンスに向けた努力の結果、米国基準および日本基準はともに、2008年12月に欧州委員会(EC)から最終的な同等性評価を獲得した。

  • ※1:もっとも同等性評価が得られなくなった場合は、IFRSによる補完情報の開示が求められることになり、直接的に資金調達が困難になるというものではない。
  • ※2:SECの主任会計士Nicolsenがまとめたことから、Nicolsenロードマップと呼ばれる。
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