CRE講座

2007/7/1 UP

第5回セミナー CRE戦略の実施

1.企業不動産(CRE)戦略の分類

ここでは、企業不動産を事業特性や不動産の特性に則して4象限のマトリックス上に分類し、それぞれの象限ごとに不動産の所有や売却に関する戦略を立案する手法を紹介する。

マトリックス上の分類手法は各種事例があるが、今回は、企業不動産をコアビジネスに属する不動産かどうかという観点、あるいはその不動産の保有目的が自己の事業用であるかもしくは投資用であるかなどの観点から保有不動産を分類し、その上で各分野別に想定されるCRE戦略について整理してみた。

図3-1 企業不動産のポートフォリオ分析のイメージ
図3-1 企業不動産のポートフォリオ分析のイメージ

○ 第1象限における企業不動産の考え方

この象限の不動産は、一般企業が保有している賃貸事業用のオフィスやマンションを対象としている。不動産事業においては投資用のコア事業となり、不動産を本業としない企業においては副業となる。多くの企業では一部を社屋や社宅として活用し、残りを賃貸する形態をとっているが、立地が賃貸事業に不向きの場合には、賃貸部分の稼働率が低下したり、市場と乖離した安い賃料で関連会社等に賃貸するなどのケースが発生している。

基本的には不動産事業を主軸としない企業においては、優先的にオフバランス化が検討される不動産群となり、不動産がグループ会社保有の場合は保有企業自体の第三者への売却なども視野に入る。前述の阪神電鉄においては、電鉄事業からみれば商業施設や一等地の事務所ビルなどの優良不動産はこのカテゴリーに含まれる。ダイエーにおけるホテル事業や野球場もこの範囲であるが、それぞれの事業を本業とみるか副業とみるかでこの不動産のあり方は替わってくる。さらに言えば、グループ企業にとって大黒柱である電鉄事業や総合スーパー以外の新規事業をどのような位置づけで考えるかである。

阪神電鉄においては不動産の含み益が大きく、たまたま本業をも凌駕するような企業価値を創出しているに過ぎず。遅かれ早かれこれらの不動産のあり方が株主や経営陣などにより論議されるべきものである。

○ 第2象限における企業不動産の考え方

コア事業で活用される不動産群である。本業の事業基盤であり企業自身の保有が前提となるが、本社、支社施設など事務所用途においては、賃貸ビルを利用することも検討される領域である。ただし事業成長期に将来を見越して先行取得した不動産が、その後の業容の変化で遊休化するなどの場合は、売却を含めた転用・活用戦略が必要となる。逆に、多店舗展開や事業拡張中の企業においては、低金利で不動産価格が低下している現在においては、積極的に不動産の取得をはかるケースも増加している。

ダイエーにおける全国各地の量販店舗や商業施設は、当然この部類に分類されるが、立地戦略の甘さやや施設老朽化などの課題への対処が、現在のダイエーにいわゆる「ツケ」としてのしかかっているのである。本業の企業資産の戦略はまさに慎重かつ大胆に実施すべきであり、企業の本丸となる不動産でもあるため心血を注いでその進退の判断をすべきものである。判断を誤れば、即事業の屋台骨はゆらぎかねない。

○ 第3象限における企業不動産の考え方

社宅や福利厚生施設など事業に直結した不動産群であり、賃借やアウトソーシングを前提とすべき領域である。第2章でも紹介したように、本業の資産や投資用不動産に比較して、その売却戦略は選択しやすいために、企業のグラウンドや社宅用地は特に首都圏においては大量に売却されたのである。捕捉はしていないがその多くは分譲マンションとして団塊世代ジュニアやバブル世代などに販売されたものと推測される。企業サイドとしては、早期退職やさまざまなリストラ施策とともに福利厚生制度などの見直しを同時着手したことも、これらのオフバランスを制度面から支えることとなった。

○ 第4象限における企業不動産の考え方

金融資産としての担保不動産であり、出口(売却)戦略が前提となる。ただし、昨今の融資は特に不動産投資に関してはプロジェクトファイナンスの形態がほとんどであり、従来のコーポレートファイナンスに比べると、当該対象不動産の運用管理は厳密となる。プロジェクトファイナンスはレンダーのみならずサービサーや格付け機関も関連するとともに、場合によってはCMBSとして小口化される可能性もあり、当該不動産の運用実績や投資管理の重要性は増大する。

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