CRE講座

2007/6/1 UP

第4回セミナー CRE戦略実施のステップ

1.CRE戦略の企業経営への貢献

企業の経営に貢献する合理的なCRE戦略の検討を深めるために、企業の経営戦略の変遷や事業の成長プロセスとCREマネジメントとの関連を検討する。

1) 企業の経営戦略とCRE戦略

企業の経営目標や経営課題、経営指標は時代とともに変遷している。時間の経過とともに経済活動全般が高度化し、それに伴って経営手法も高度化してきたと思われる。不動産運用を通じて企業経営に貢献しようとするのであれば、不動産運用の目標設定も、企業全体の経営目的や経営指標を意識したものにならざるを得ない。

企業不動産は、売上や利益の規模拡大のための基盤として大量に取得された。近年は不況ともあいまってオフバランスなどの手法で、不動産処分により経営効率や投資効率向上の観点でROEやROAの向上を目指す活動が活発であった。これは、キャッシュフロー経営、株主価値の最大化にも通じる活動であった。

図2-1 経営指標の変遷
図2-1 経営指標の変遷

(出典:ベリングポイント『経営管理情報マネジメント』生産性出版、2005年。)

本章後半では、経営指標であるROAやバランススコアカードなどをCREマネジメントに組み込んだ具体例を詳しく報告する。また、企業価値と不動産運用との関連は、企業のコア・コンピタンスと不動産との関連に強く関わる問題と思われ、個々の企業での深い議論を期待するところである。

しかしながら、一足飛びに企業価値の最大化などの最新の経営目標や経営指標にCRE戦略の照準を定めることが正しいとは思われない。浮ついた議論の前に、企業全体におけるファシリティコスト、事業所や店舗、製品ごとのファシリティコストの把握やコントロールは、基本的な経営戦術として獲得しておかなければならない。ROA向上のために、不動産オフバランス戦略を推進するといっても、保有しない場合のファシリティコストが圧倒的に高くなってしまっては本業ビジネスの競争力を阻害してしまう。過去の経営課題の解決を踏まえた、足腰の強いCREマネジメントを構築しておく必要がある。

2) 企業の成長と不動産のライフサイクル

マクロ経済における経営指標とCREマネジメントとの関連について先に触れたが、成長過程にある企業や事業部門においては製品のライフサイクルと不動産との関連も確認しておく必要がある。

一般的に事業や製品が新しく導入される局面においては、不動産に対するアプローチも投機的なものになる。起業時には、ある種の賭けになる場合もある。この状況では、経営は、一定のリスクを敢えて採ることになる。不動産取得については、まずは競合起業との先行争い、支配エリアの獲得など機会創出が第一目標となる。受容されているリスクの大きさとの比較から、この段階では、不動産運用に対する精緻なコントロールは必要とされない場合が多い。

図2-2 不動産と製品ライフサイクル
図2-2 不動産と製品ライフサイクル

(出典:企業価値向上と不動産戦略 一部改定)

成長期の前半は、機会損失をいかに小さくできるかという不動産獲得戦略となるが、後半においては事業や製品のピークをにらんでの着地戦略に移行する。この見極めが失敗し、外部環境も不況やバブル崩壊に重なると、いかに大きな企業といえども簡単に破綻することがあり得る。

成熟期に入ると競合企業もある程度淘汰され、価格競争にさらされる。事業や製品の原価となるファシリティコストの削減が重要な局面となる。また、製品の社会的な責任も注目され、事業継続性やリスクの観点からCREマネジメントへの要求が増大する。

このように、企業全体の経営目的、課題、指標や1つの事業、製品のライフサイクルを考慮して、CREマネジメントを実践していくこととなる。

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